「祝の島」上映会&纐纈あや監督トーク開催しました

5/19(土)に42名の参加者を集めた纐纈あや監督のトークは、島の人々の暮らし、思いに寄り添う心温まるものでした。

映画製作のきっかけは、師事している本橋成一さんのチェルノブイリを写した「アレクセイと泉」の上映で島を訪れたこと。仕事と生活と同じレベルで原発反対を掲げ、毎週月曜日にデモに参加する島の人々の姿が目に焼き付いた。その後ニュースでは「原発反対」を荒々しく叫ぶ姿ばかりが報道されることに、「自分が会った島の人々とはまったく違う」と、居ても立っても居られず、とにかくカメラを抱えて移り住んだ。その後、島と東京を行ったり来たりしながら1年10か月、撮影をしたそうです。

 

撮影が始まってからは、パンフレットに「いただきもの日誌」があるように、いつも玄関先に置いてあったり、リヤカーに入れてくれたりと、いただきものが絶えない。島の人も、自分たちも山や海からもらっている、巡っているんだからという感覚で食べる物をくれる。右か左かではなく、多様なものが調和している世界に、原発は何を持ち込んだのだろう。

撮影スタッフとして合流した中植きさらさんと

 

3.11以降、山口県知事は計画中止宣言をしているが、廃止されているわけではない。現実的な問題として、中国電力が周辺漁協に支払った漁業補償金をめぐって、祝島分の10億8千万円を祝島漁協は受け取り拒否しているなど、分断、分裂が生じている。

作品に関しては、よく「空気のようにカメラが入っている」といわれるが、実は違う。島の人々は、カメラがあるということをすごく意識している。ある時点でカメラがいていいよ、撮らせてもいいと許してもらって、それからは島の人たちも言ってやろう、見せてやろうという関係になった。だから普通のドキュメンタリーの手法ではなく、島の人々の中に入って一緒に作っているという感覚でした、とお話しくださいました。

トークの合間には監督が手掛けた「石風呂」ダイジェスト版も上映し、消えつつある文化を通じて、豊かさとは何かを考えさせられました。とにかく映像が美しく、循環するくらしの営み、それを支える労働の過酷さも静かに映し出され、心に残りました。

時間いっぱいに、最後まで愛情をもって祝島のことをお話しくださり、纐纈監督のお人柄にも魅了された時間でした。

*10月には反原発を闘う各地の人々をつないでトークイベントを開催します。ご期待ください。

 

 

 

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