STUDY HALL vol.28 映画「ザ・思いやり」上映会&監督トークを開催しました

6月1日(土)、早稲田奉仕園では映画「ザ・思いやり」の上映を行いました。この映画のタイトルはその名の通り「思いやり予算」という、日本政府からの米軍への過剰な経済負担のことを指しています。アメリカ人の監督が米軍基地への「思いやり予算」の矛盾に迫るという興味深い映画に、当日は学生含め40名近くの人数が集まりました。

映画は、リラン・バクレー監督のいつもの日常から始まります。日本で生活をして38年、英語の講師をしながら日常を過ごしていたバクレーさんは、いつものように朝目覚め、コーヒーを淹れ、新聞を読んでいました。その時偶然、「思いやり予算」の記事が目に留まり疑問を感じたそうです。1978年から始まった日米間のこの予算は、この映画の製作された2015年時点で6兆円以上も投入され、日本に駐留している米兵の贅沢な暮らしを支えるものだと映画は訴えます。実はバクレー監督自身20年以上神奈川県に在住しており、たしかに近くの米軍基地の夜間訓練はうるさいとも感じる反面、基地の存在に関して問題意識は特に持っていなかったといいます。新たに問題意識を持ち始めたバクレーさんは、自ら「思いやり予算」の矛盾を市民の目線でコミカルに明らかにしようと、地元神奈川はもちろん、沖縄、アメリカまで自ら赴き、専門家や芸人、活動家に話を聞いたり街頭インタビューを実施するなどの行動を起こし始めました。そのなかで、「米軍への予算を〔東日本大震災の〕被災地の支援へ」と訴える活動家とも出会い、石巻の仮設住宅で暮らす人々の現実に「思いやり予算」への疑問を一層高めていきます。

映画上映後には、バクレーさんのトークも行われました。2015年に完成した映画は2年間で海外も含み日本全国550ヵ所、計4万2千人ほどの観客を動員したといいます。この中でもバクレーさんは、コミカルに描いたことによってそれまで社会問題に縁のなかった人にもたくさん観てもらうことができたと強調していました。まさに、そこにこの映画の狙いがあります。

今回、早稲田奉仕園で上映したのは一番最初の作品「パート1」でしたが、この「ザ・思いやり」シリーズ「パート2」と「パート3」もあります。「ザ・思いやり」シリーズの他にも映画製作を続けており、日本とアメリカを結ぶ「それでも夢はある~松元ヒロが旅するトランプのアメリカ」、枯葉剤問題を訴える「オレンジマラソン」や、そして「戦争を許さない芸人たち」(仮題)の製作を通じて、社会問題を提起し続けています。

参照:「ザ・思いやり」公式HP
https://zaomoiyari.com/

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