2018年8月5日(日)から10日(金)まで、韓国の済州島にて、第7回アジア市民社会教育ネットワークCENA夏季学校を開催しました。
今年のテーマは「なぜ国家は人々を殺すのか」でした。国家暴力を考えながらアジアでの平和のあり方を考えました。
参加者は12か国からの大学生と大学院生50名と教職員11名の計61名でした。
CENAの歴史や共催団体などは昨年のブログをご覧ください。
今年は韓国・済州島で開催され、学生のプレゼンテーションや教授陣のレクチャー、フィールドワークなどが行われました。朝から一日中学ぶ機会があり、参加者の学生も教授も皆一つになってこの夏季学校をつくっていきました。
アジアの学生は熱気がありディスカッションが白熱することもしばしば。
レクチャーが終わったあとは歓談しながら、お互いの国ことを知り合ったり質問し合ったりしながらゆったりした時間を過ごしました。
今回参加した日本人学生の感想を抜粋して紹介します。
👤 3日目は、四・三事件記念委員会の企画によるフィールドトリップだった。平和記念公園を訪れた後に、80代の女性から当時の体験を聞いた。日本と同様にその時代の体験を語る人は少なくなっていることを考えると、話しを聞くことができたのは貴重な体験である。今までこの事件を知らなかったという韓国の参加者もいて、事件の記憶を風化させず、韓国の若い世代だけではなく、韓国以外の人びとにも知っていてほしいという意思を私達は受け止めなくてはならないだろう。(中略)振り返りの時間に、「自分は内気だと思っていたのに、みんなと過ごすうちに自分から声を掛けるようになった。」、「ITの勉強をしていて日常生活で人と話すことが少ないのに、他国の人と英語で話すなんて想像していなかった。」、「参加したらまた勉強したくなった。」と、自分の変化に気がついた参加者がいた。また、テーマ以外のことでも日本のことを知りたいという人もいる。英語が得意ではなくても、言葉を交わすうちに自分の研究課題や日本の状況を話すことになるかもしれないが、会話を通してお互いの国の状況を知ることもできる。CENAは、自分の新たな側面を知ったり、研究以外の領域を学べる機会でもある。参加を迷う人こそ、アジアを通して世界を見ることで何かを得る可能性に挑戦してほしいと思う。
👤 今回のCENAは、韓国でのキャンドルデモ、そして政権交代後初めて開催されたものである。そのため、多くの韓国の若者たちの意識と意欲には驚かされた。そして同時に、済州島での出来事に対する自国民としての責任感を示すと同時に、その出来事についての知識の浅さを悔やむ場面が見られたが、それは日本人の私たちと同様である。何より、理解していながらも、自身の語学力・語彙力のために伝えきれない、また、日本人あるいはアジアに住むひとりとして、伝えたいと思うことに関しても十分に伝えきれなかったことも悔やまれた。
今回のCENAでは、初めて海外で反対運動に参加することになったが、やはり他国の運動には学ぶことが多かった。継続的に行い続けていることももちろんであるが、何より、参加することへの楽しみがあった。共通の歌やダンスを用いて行うことは、継続性を生み出すことはもちろん、ポジティブな希望がある。そういったことを学べたことだけでも、今回のプログラムに参加できた意味は大きいだろう。
👤 私は最後に沖縄の米軍基地反対をめぐる市民運動の展開と、沖縄のアイデンティ ティ並びに日本における沖縄への差別的な構造について話をした。発表が終わると何人かの学生が話しかけてくれ、「沖縄に興味をもった。」 とか、「沖縄を日本の一部だと思っていたが植民地的な構造があると初めて知った。」という感想をもらった。韓国の学生からも日本の発表が とても良かったと言ってもらえ、少しほっとし た。私の英語が流暢でない分、彼らからそれ以上の深い部分の反応までは引き出せなかったが、概ね沖縄に対する理解は得られたように感じた。中には、日本本土は加害者という立場でありながら、なぜ第三者のような視点で発表しているのかという指摘もあった。その点に関して、植民地支配の加害者側の立場としての「済まない。」という思いを整理することが間に合わず今回は言及しなかったので、今後の課題としては日本の加害行為をもっと前面に出した構成にしたり、そのことに対する謝罪の気持ちが 表れる発表に取り組んでみたいと思った。
“第7回アジア市民社会教育ネットワークCENA夏季学校@韓国・済州島 開催報告” への1件のフィードバック