奉仕園の学生寮には、日本人学生、留学生、研究者など合わせて約200名が居住しています。以前からStudy Hallで留学生や研究者に研究テーマなどを語っていただき、ともに学びの時を持てるよう計画してきましたが、多くの居住者が1年未満の滞在のため、なかなか実現できませんでした。そして、ついに今回は初めて寮生のミカエル・ジマーマンさんを講師に迎えることができました。
1月13日(土)に開催した、Study Hall vol.16「スイス人留学生が語る 1960年代日本の抵抗、芸術と映画」。参加者は9名という少人数でしたが、講師も参加者も熱心に質疑応答や意見交換をして、とても充実した企画となりました。とくに留学生の参加者は日本の社会や政治に対して、自分の興味関心に基づいてよく分析し、鋭い質問を投げかけていました。
講師のミカエルさんはスイスのチューリッヒで2012年から2014年までA Picture Newsというグループで活動していました。行政からの助成も得て、映画上映などに使えるスペースを借り、1ヶ月、実験工房に関する映像を流すイベントを企画していたそうです。
また、2016年5月から8月までヴィンタートゥールという都市では、日本の1960年〜75年までの写真展が開催されたことを例に挙げ、当時の日本の抵抗とアートパフォーマンスの関係が最近でも注目されていることを説明しました。
ミカエルさんは国立歴史民俗博物館の企画展示「『1968年』-無数の問いの噴出の時代-」やシアター・イメージフォーラムの「追悼・松本俊夫 ロゴスとカオスのはざまで/映像の発見ー松本俊夫の時代」を訪れ、資料を集めて、今回のStudy Hallに臨んでくれました。
なぜ60年代のアート作品が注目を集めているのか。それは作品に見られるパフォーマンスが、現代の市民運動を先取って表現していることだと言います。60年代や70年代の安保闘争とは異なる形のデモで、多くの人が自分の意見を表明しています。60年代のアート作品の中に、これからのデモや自分の意見を表明するやり方のヒントがあるのではないか、というお話でした。