7月29日(土)スタディホールvol.40映画「標的」上映会&植村隆トークを開催しました。
13:30〜15:10 、16:30~18:10の二回上映で前半23名、後半24名の計47名の方に来場していただきました。
映画は捏造記事を書いたとして激しいバッシングされた元朝日新聞記者の植村隆さんを追ったドキュメンタリーです。
植村さんには杉原千畝シンポジウムでもファシリテーターを務めていただき、それ以来の奉仕園での登壇となりました。
当日は、友愛学舎のOBOGに加え、週刊金曜日の読者の方、大学院生、現役友愛舎生などさまざまな方に来ていただくことができました。
友愛学舎出身でもある植村さんはトークの中で「友愛で在日コリアンの先輩と出会い、韓国との接点ができた」と語っておられました。
友愛学舎2年生の感想を載せます。
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『危険な身勝手さ』
今回の上映会の告知で始めて植村隆さんの存在を知った。そして、『標的』というタイトルとテーマが「慰安婦」であることを知り、私は1人の新聞記者が慰安婦をいわゆる“自虐史観”(本当は使いたくない言葉だが…)取り上げたことで、右翼の激しい攻撃にさらされるという構図が思い浮かんだ。しかし、映画『標的』で知ったのは、慰安婦問題の残虐性と複雑性、想像を超える植村さんの苦しみ、現代日本が抱える問題点であり、本当に辛い気持ち、嫌な気持ちになり、上映後は悲しみと怒りで胸がいっぱいだった。
「挺身隊」と「慰安婦」の学術的区別がはっきりしていないなかで、植村さんが1991年に書かれた記事にもその混同が見られたと、朝日新聞が2014年に指摘している。私は、1991年の植村さんが書かれた記事を実際に読み、朝日新聞がのちに混同を認めた記事も読んだ。
第3者視点から考えて、私はこの混同が意図的なものだと全く感じられなかった。この記事をもとにして、一部の右翼勢力は自分たちの歴史観に基づき「捏造」だと決めつけ日本人の尊厳を傷つけたと、植村さんを「吊し上げた」。
彼らは近年高まりを見せている朝日新聞バッシングをしたいがために、会社ではなく一個人で・しかも元社員である植村さんを攻撃したが、そこには何も正当性がないを感じた。そして、殺害予告や娘さんに攻撃対象を変えて、もはや記事内容ではなく個人の尊厳を損なおうとしたことに彼らの身勝手さがあると考える。
映画のなかで、植村さんが大きく表情を変えずに、自身や娘さんへの誹謗・中傷について語っている姿が印象的だった。それは「理不尽と戦う」というジャーナリストとしての信念からぐっと抑えこんでいたからだと思う。きつく抑えつけないと自分がジャーナリストであるアイデンティティや、理性を保てないほど、右翼の理不尽さへの怒りとそれから受けた被害への苦しみは強かったのだと推測した。
私は慰安婦問題についてほんの少ししか知らない。戦時中旧日本軍が自軍の指揮を維持するために、現地の人をその意図に反して強制的に連れて軍人の相手をさせたというイメージがあった。私は今回の上映会をきっかけに、自分で慰安婦について調べてみたが、正直に言って、全体像を掴むことはできず理解できなかった。多種多様な事例・証言・調査・見解があり、多角的に考察していく必要性を実感した。
この点においては、植村さんの記事を取り上げ批判した人はたった一つの角度でしか慰安婦問題を見ることができておらず十分な調査・研究していないと思う。そして、それに同調して植村さんを攻撃した右翼に対しては疑問を感じざるをえない。なぜ一面的な見方しかできていないかというと、自分たちの主義・正義を示したいがために、都合の良い事実や証拠を切り取って身勝手に主張を組み立てているからである。
私がこの映画でわかったのは、今の日本で都合の良いことばかり見つめて身勝手に問題を批判・否定していく人たちが蔓延っている現実である。こうした心無い言動によって、最終的には何の罪もない慰安婦であった方や植村さんの娘さんが傷を受けるということを知っていないことに、強く憤りを覚えた。
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奉仕園らしい小さいですが、広く人の輪をつなげていく機会となりました。今後も奉仕園を通してさまざまな関係や社会問題のきっかけとなるような講座を企画していきます。