4月16日(金)~21日(水)まで、STUDY HALL VOL.34 写真展「日本社会と難民~クルド人のまなざしから」が、早稲田スコットホールギャラリーにて開催されました。会場には、計5日間で約200名の方が足を運んでくださいました。
チラシに「ストップ!入管法改悪 つくろう!難民保護法」というマークがあるように、ちょうど写真展の会期中に国会で与党の入管法改定案が審議され始めたこともあり、足を運んでくださる人が多かったように思います。
日本では既に様々な背景やルーツをもつ移民や難民がともに生きています。しかし日本において「外国人」とされる人々は、入管法によって管理の対象とされてきた歴史があり、オーバーステイになってしまった人などの長期収容、他の諸外国と比べて異様に低い日本の難民認定率が長年問題視されてきました。このような現行の入管法も問題が山積みにもかかわらず、今回与党による入管法改定案が通ってしまえば、迫害などから逃れてきた方が3回目の難民申請からは強制送還になってしまったり、移民・難民の方たちを支援している市民団体に彼らの生活を監視させるようにするなど、日本社会における移民・難民の立場がますます厳しくなろうとしています。
なかでも、トルコから逃れてきた少数民族クルド人は日本に約2000人住んでいますが、未だに一人も難民認定されていません。日本で生まれたり、幼少のころから日本で育った子どももたくさんいるにもかかわらず、安心して暮らせる在留資格もないまま不安定な生活を余儀なくされています。
写真展では、クルド人の集住地域が襲われ避難をするクルド人の姿の他、日本にて収容されるか強制送還されるかの狭間に立たされるクルド人の姿、収容所で入管職員から暴行を受けそれを世に訴えるクルド人の姿、そして日本で生まれたり、幼少の頃から日本で育った若者の日常を切り取った姿…、まさにクルド人のまなざしから見た今を伝える写真が展示されました。
今回の写真展では、プレイベントと同時開催イベントも開催いたしました。
4月3日(土)に開催したプレイベント「カザンキラン一家とドーガン一家が残してくれたもの」では、クルド人難民Mさんを支援する会事務局の周香織さんに、2004年渋谷の国連大学前で座り込み運動を展開したクルド人二家族のことについてお話しいただき、フィンランドのタンペレ大学教員の進藤令子さんには日本の難民認定制度の問題点などについて解説していただきました。
また、写真展会期中の18日(日)には、学生映像作家である中村隆介さんと飯野遼平さんが制作したクルド人のデニズさんを軸にしたドキュメンタリー『この国と私』の上映会を早稲田奉仕園の会場とオンラインで同時に行いました。会場にはスペシャルゲストでデニズさんにも駆けつけていただき、自分が立たされている境遇などについて厳しく訴えてくださいました。
プレイベントと上映会&トーク参加者のみなさまからはこのような感想がありました。
「周さん、進藤さんのお話は難民・入管問題で今まで他で聞いてきたものより大変貴重で有意義なものでした。周さんからは、社会問題などに興味が無かった一社会人が難民・入管問題とどのように関わるようになったかを知ることが出来、私たち一般市民でも様々な形でこの難民・入管問題や他の社会問題と関わることができること、そして、傍観者ではなく発言者・活動者として日々生きていく勇気を教わりました。進藤さんからは国際社会学の視点で、難民認定の恣意的基準・複数認定の問題点や、日本においての「難民」への認識、私たちは日本に居ながらでも福島原発事故のようにいつでも“難民”となり得ることを教わりました。」
「同じ学生の方々がこのドキュメンタリーを作り、多くの人に伝えようとしていたのだと思うと、入管問題に関心を持つ者として、とても心強く思います。これからも私たちの世代が社会問題に関心を持って、社会に訴えていかなければならないと思いました。」
「映画は学生さんが作られたということを知りませんでした。難民問題に関心を持つ若い方がいらしたことをとてもうれしく思いました。デニズさんに対する日本政府、入管の仕打ちは想像を絶する酷いものだということがよくわかりました。またデニズさんが話されていた入管の医師、亡くなったスリランカ人女性のことなども、今後も決して忘れず訴えていかなければならないです。」
「ニュース報道をみて憤り、怒りを覚えていたが、自分に何ができるかわからず、日常の忙しさを理由におろそかになっていた。だが、今日デニズさんの話をきき、人の生きる権利を奪う行為は決して許されることではなく抗議を続けなくてはと思った。」