チャリティ古本市寄付先 Stand with Syria Japanインタビュー

2019年度前期チャリティ古本市寄付先

NPO法人Stand with Syria Japanインタビュー

NPO法人Stand with Syria Japanスタッフ:道工桃子 氏

聴き手・構成:早稲田奉仕園 海野牧人

セミナーハウスの主軸に流れているテーマのひとつが「市民活動の支援」です。その中で「チャリティ古本市」は長きにわたって古本の売上を市民活動団体へ寄付させていただいております。今回は49,350円をシリアの市民への支援と啓発をおこなっている20代を中心とする若き市民活動団体、NPO法人Stand with Syria Japanさんに寄付いたしました。古本市は、寄付だけでは終わりません。皆さまからいただいた寄付金を市民団体の方々にお届けし、そこから実質的な活動が始まります。その団体の活動を皆様にお届けし、もっと詳しく知りたいという思いがあり、今回はNPO法人Stand with Syria Japan(以下、SSJ)スタッフの道工(どうく)さんにその活動内容や思いについてお伺いしました。道工さんの熱い思いが伝わるお話は、当初の予定時間をオーバーするロングインタビューになりました。今回は抜粋版を掲載します。

 

―本日はお越しいただきありがとうございます。5/15から始まったセミナーハウスのチャリティ古本市ですが、今回はSSJさんにご寄付させて頂きました。きっかけはセミナーハウスをお使いいただいたシンポジウムです。シリアの声、当事者の声に寄り添うということで活動されていると思うのですが、改めて活動内容と、道工さんがSSJに加わった経緯をお聞かせ頂けますか?

※2019年3月23日に奉仕園内でおこなわれたシンポジウム。リバティホールは満席で、活発な議論が交わされました。

 

道工さん:本日はありがとうございます。当団体は現在進行形でシリアで発生する破壊・殺戮の中で苦しむ市民の方々に寄り添いたいという思いで活動を展開するNPO法人です。設立は2017年4月、NPO法人化されたのは本年の5月です。その前に代表の山田一竹が立教大学の学生だった時に、実際の活動がスタートしています。

 

―私たちのチャリティ古本市は、奉仕園をお使いいただいた方々からの寄付という形になるのですが、この寄付金はどのような支援としてお使いいただけるのでしょうか?

 

道工さん:現在、私たちは「マンスリー・サポート(月次寄付)」を始めておりまして、今までは一時的な緊急支援を展開して来ましたが、このプロジェクトは、どこからも支援が入っておらず、最低限の生活が保障されない5つの家族に対して継続的な支援を行うものです。まさにその寄付金がたりないところに、早稲田奉仕園様のご寄付を頂きましたので、すぐに現地へ届けさせていただきました。

 

―ありがとうございます。SSJさんのHPを拝見すると、“月3000円で赤ちゃんのミルクを買うことができ、おなかをすかせて苦しむことがなくなります”とか“テントからの生活から抜け出しアパートを借り”…と具体的に書いてあるのですが、この家族の方々は逼迫した状況なんですよね。

 

道工さん:はい。しかし、どれもまだ支援が足りない状況でして…

※SSJ公式サイトより https://standwithsyriajp.com/category/monthly_support/

 

―(上記キャンプのHP画像を見て)いま、本当にこのような状態なんですか?

 

道工さん:ええ、このようなキャンプが点在しており、キャンプとはいえ状況は千差万別ですが。これもまさに1つの現場です。

 

―これが何か所もある、というイメージですか?

 

道工:そうですね。

 

―いまそういった家族の方への支援というのをご寄付で、活動の中でされているということですね。寄付による支援活動はSSJさんの事業内容の支柱なのでしょうか?

 

道工さん:はい、事業内容は3つあります。1つには日本に暮らす私たち自身の関心事としてシリア危機を捉えていただくために、正しい情報とシリア市民の声をお伝えし、関心を持っていただく啓発活動です。シリアの人々に寄り添う思いを持つ者の連帯を、日本から広げていく活動ですね。2つ目の活動は、先ほどのマンスリー・サポートなど現地で実際に困窮している方たちへの物資面での支援です。そして最後が、人権擁護(Human Rights Advocacy)です。シリア内では人道上許されない罪が横行しています。それらの重大な人権侵害や戦争犯罪の責任の所在を明かす、そして被害者の正義を回復する、そのためのアドボカシー活動です。プロパガンダによって事実が闇雲にされていって、被害者のなんの権利も認められていないような現状に対して、一刻も早く彼らの人権を取り戻すといった活動となります。この3つの柱をもとにSSJは活動を行っております。

 

―ありがとうございます。最後の質問です。先ほどからアサド政権がもたらしている惨状についてのお話がありますけれども、今のシリアの現状を知りたく思います。そしてSSJさんもNPO法人化され、これからさらに拡大されると思うのですが、今後の展望についてお聞かせください。

 

道工さん:そうですね。現在のシリアの現状ですが、日本ではニュースでの報道がほとんどない状況だと思います。実際にはシリアの北西部を中心に、シリアのアサド政権とロシアの協力により、激しい空爆がおこなわれています。規模で言うと現在300万人の市民の命が危険にさらされています。これまでに50万以上が殺されて来ましたが、引き続き苦しい状況にあります。そして様々な国の政府や、NGOがすでにアサド政権主導のシリア復興事業のために支援資金を出そうとしています。これは非常に恐ろしい状況です。殺戮を続ける戦争犯罪政権に資金出資をすることは、すなわち、アサド政権を恐れて国外へ逃れた数百万の難民の帰還は諦めるしかないという世界の意思を示しています。この「もう復興でいいんじゃないか」という流れになっていく恐ろしさというものを訴え続けていく必要があります。それから、声なきシリア市民の思いを伝えるアドボカシー活動も強めていきたい。SSJの特徴のひとつが現地の方との強いパイプです。早稲田奉仕園さんをご利用したシンポジウムの際もSkypeでシリアとの中継がなされました。Skypeで日本にいる私たちがまさに現地のシリア人の方と意見を交わし合うことができる。リアルタイムで私たち自身が同じ時間を生きているという事実を共有し合う。それはとても強い人間としての連帯を生み、シリアで続く暴力に打ち勝つことができると思います。それが私たちの変わらない信念であり、シリアで一番苦しんでいる人たちに最後まで寄り添いたいという設立時の思いはこれからも変わりません。今後も、このシリア危機に、同じ思いを持つ世界中の人たちと連帯を強めていき、暴力をなんとか阻止する。そして、彼らの失われた人権・正義を回復していく。これらの活動に、今後もより一層力を入れていきたいと考えております。

―ありがとうございます。力強いメッセージと思いを聞かせて頂き、私たちも皆さまを微力ならが支援させて頂けて、嬉しく思ってます。早稲田奉仕園はStand with Syria Japanさんのような団体を支援することをテーマに掲げております。今後とも是非ご利用いただければ嬉しいですし、私たちも活動を見守っていきたいと思っております。

 

道工さん:ぜひ今後ともよろしくお願いします。

 

SSJスタッフ道工氏、セミナーハウス海野

2019年7月早稲田奉仕園セミナーハウスにて

 

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