ヴォーリズ建築文化全国ネットワーク全国大会

 

スコットホールには二つの建築的系譜が息づいています。一つは設計者である今井兼次の創造性であり、もう一つはその背景にあるヴォーリズ建築の思想と意匠です。設計は今井兼次が担いましたが、その計画過程にはヴォーリズ建築事務所が深く関わっており、スコットホールには両者の建築的特徴が重層的に表れています。

2026年5月30日、スコットホールを会場としてヴォーリズ建築文化全国ネットワーク全国大会が開催されました。司会は藪秀実氏、総会後には、当園専務理事の阿部による講演「I、愛、会い ― ヴォーリズとベニンホフ」が行われました。

講演では、早稲田奉仕園創立者ベニンホフとヴォーリズとの関係に焦点を当て、その接点を探りながら、奉仕園およびスコットホールの100年以上にわたるストーリーについて紹介しました。会場からは活発な質問も寄せられ、全国から集まったヴォーリズ建築の保存・研究・活用に携わる方々が熱心に耳を傾けてくださいました。

続いて、ヴォーリズ建築研究の第一人者である山形政昭先生、そして一粒社ヴォーリズ建築事務所所長の一色輝生先生より、スコットホールに見られるヴォーリズ建築の特徴や魅力についてご講評いただきました。両先生のお話は、スコットホールを単なる歴史的建造物としてではなく、ヴォーリズ建築の系譜を今日に伝える貴重な作品として再認識する機会となりました。

その後はグループに分かれ、スコットホール館内のガイドツアーを実施しました。山形先生、一色先生に加え、当園スタッフも案内役を務めましたが、参加者の皆さまの鋭い観察眼や専門的な質問に触れ、改めてスコットホールへの関心の高さを実感しました。建築的なディテールや保存活用のあり方について活発な意見交換が行われ、大変充実した時間となりました。

昨年度は、建築家・画家の薮野健氏により、今井兼次の建築作品としてのスコットホールに光が当てられました。今回はヴォーリズ建築の視点からその魅力を再発見する機会となり、スコットホールが今井兼次とヴォーリズ双方の系譜を受け継ぐ建築であることを2つの視点から改めて確認することができました。

今後もスコットホールがヴォーリズ建築文化のネットワークの中での役割を担い続けるとともに、ヴォーリズから今井兼次へと受け継がれた建築的精神と魅力を伝える場であり続けたいと願っています。そして、建築を通じて人と人とが出会い、学び合い、つながる場として、これからも多くの方々に親しまれることを期待しています。

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