ロシアによるウクライナの軍事侵攻から1年となる2月24日(金)に「フリースクールから見えるウクライナの戦争」というイベントが開催されました。NPO法人TDU、雫穿(てきせん)大学主催、早稲田奉仕園共催のイベントです。
ウクライナには400ものフリースクールがあり、それらはソ連崩壊後のウクライナ独立以後、さらには「マイダン革命」と呼ばれる2014年に起きた民主化運動を経験した女性たちが主体的に立ち上げたものが多いようです。
ウクライナにおけるフリースクールは規律―訓練的な学校イメージから自由に教育を捉えなおし、子供達にとってなにが大切なのかを先生たちが主体的に考え、実践しています。そのドキュメンタリー番組に出てくる先生のほとんどが女性であることも象徴的でした。
本企画主催者の朝倉さんはかねてよりウクライナのフリースクールとの交流を深めており、「このウクライナのフリースクールムーブメントもソ連崩壊やマイダン革命という社会変動から始まり、学びに生かされてきた。これは日本の教育に活かせるのではないか」と仰っていました。日本には革命はありませんが、3.11やコロナを社会で共有し、その社会の中で子どもが求めている学びとはなにか、を考えていくことが大切だと仰っていました。
ウクライナ現地のフリースクールの先生からの動画メッセ―ジも印象的でした。
・空襲で避難するために地下室を整備し、空襲警報が鳴ればそこに逃げる。
・子供たちは前線で戦っている親戚の心配をしている。戦争ごっこをし、ロシアへの憎しみが大きくなって、クリスマスのサンタさんへの願い事は「もっとウクライナに銃や戦車をください」という子どももいる
・過労と戦争のストレスから先生も倒れてしまった
・今日が最後の一日になるかもしれない、と思い日々を過ごしている
その後の鼎談では雫穿大学・反貧困ネットワーク・ワーカーズコープの若手のスタッフから、「ウクライナといかに繋がることができるのか」というテーマで意見が交わされました。
「苦しみは計り知れないが、このような状況を忘れず、問い続けていくことの重要性、そこに住んでいる人たちの他人事ではない当事者性にいかに寄り添えるのか、知る努力をする」ことなどが語られました。
今回のシンポジウムを通じて、ウクライナがフリースクールの先進的な国であり、そこには子どもが先生と一緒に生き生きと学んでいる姿があるというポジティブな一面と、それに相反するリアルな戦争の現状を知りました。このようにウクライナについて少しでも私たちが知り、イメージ広げていくことが「ウクライナとつながること」の契機となるのではないでしょうか。
時宜を得たイベントでしたね。開催を事前に知っていたら、会場に出かけられたかもしれません。