インド映画「あるがままに」は老いをテーマに現代のインド社会を描いた作品です。
主人公のシャストリ博士はアルツハイマー型認知症を発症して、記憶が失われていきます。娘夫婦は気難しくなっていく主人公に疲弊しながらも、介護を続けます。主人公は町をさまよいながら子どものように人々に接していき、人々から愛されていきます。
この作品は、老いや介護といった現代社会の苦悩を題材にしています。映画の中の人物は一人ひとり懸命に生きていてどこか清々しい気持ちを起こさせてくれます。
また、主人公シャストリ博士の口癖「よきかな(あるがままに)」が印象的です。当日はこの映画の翻訳者藤井美佳さんも会場に来られており、ご自身の介護体験とともにこの映画への思いを話してくれました。より映画に気持ちが入る思いでした。
国も文化も違いますが、人々の苦悩は驚くほど似ています。スコットホールの雰囲気とも合っていて、静かな感動を与えてくれる作品でした。
上映会当日の10月26日(金)には90名の観客が足を運んでくださり、ユーモラスなシーンには笑いが起きつつ映画に見入っていました。エンドロールのときには、会場から拍手が起こりました。この映画を通して、自分や家族が老いていくことを考えた方も多かったのではないでしょうか。今後も現代インド映画は注目です。