STUDY HALL vol.15「ロヒンギャ難民はいま」開催しました

数年前から「ロヒンギャの人々」が、たびたび難民やボートピープルとして報道されながらも、日本ではその問題に深く関心が寄せられることはありませんでした。

そんな中で8月25日の衝突をきっかけに、60万人を超えるロヒンギャ難民がミャンマーからバングラデシュに流入した事態に、大きな衝撃を受けました。

一体ミャンマーで、何が起こっているのか?

ロヒンギャ問題の背景と現状について、ジュマネット共同代表であり静岡文化芸術大学教授の下澤嶽さんに聞き、私たちは何ができるのかを共に考えました。

 

ジュマネットはそもそもバングラデシュのインドとミャンマーに接する東側、チッタゴン丘陵に住むモンゴロイド系先住民族を支援する団体です。ところが2016年10月に発生した7万人を超えるロヒンギャ難民に対するあまりに世論の無関心さに、「やむにやまれず」ロヒンギャ難民への支援を開始することになったとのこと。10月の事件のその後の状況把握と救援状況の調査のため、バングラデシュを訪れた際に発生した8月25日の事件。そのため下澤さんはいち早く9月9日に難民キャンプを訪れることができたといいます。

 

着の身着のままで逃げてきた大勢の難民の様子や、難民キャンプの状況を、写真を見ながら伺います。

   

 

下澤さんは、ロヒンギャ問題は様々な要因が複雑に絡んでいるといいます。

難民帰還交渉を最優先させるため、ミャンマー側を刺激しないよう配慮するバングラデシュ政府、国の実権は軍が掌握しイスラム過激派を掃討するという口実で少数民族間の分断統治と弾圧を繰り返すミャンマー国内の実情、アウンサン・スー・チー率いるNLD内でさえ「違法な移民」としてロヒンギャ排除感が強いこと、などなど。

問題山積の中で、それでもアウンサン・スー・チーはアナン元国連事務総長が委員長を務める「ラカイン問題検討諮問委員会」を作り、8月24日に答申を出させました。その内容は、国籍付与や移動の自由などの市民権を認めるもので、現段階で最も現実的な解決案と思われます。私たちはこの答申を支持し、国際世論を喚起して、孤立しがちなアウンサン・スー・チーを前に進めさせることが重要だと下澤さんは話します。

「ラカイン問題検討諮問委員会」の答申は こちら

そして難民支援について、これからの必要な視点として、帰還の長期化に備えて支援活動の必要性(特に衛生環境と教育)燃料と森林の保護を含む近隣コミュニティへの様々な影響と監視、レイプ被害・妊産婦と新生児への対応など、長期的な取り組みが必要になってくると力説されました。

ジュマネットは今後も難民キャンプの内部調査をし、適正な機関手続き、人権侵害のリスクなどを監視していく予定とのことです。

年末の金曜日ということもあり参加者は少なかったのですが、活発に質問が行きかい、みなさんの熱意が感じられました。

今回の参加費12500円をジュマネット「ロヒンギャ難民緊急支援募金」に寄付しました。参加者のみなさまのご協力に感謝いたします。

また、会に先立って、チャリティ古本市の売上金62400円をジュマネットの「ロヒンギャ難民緊急支援募金」におくりました。みなさまのご協力に感謝いたします。

 

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